植物や動物、わたしたちの体内にも広く存在する、天然アミノ酸のひとつ。γ-アミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)を略して、GABA(ギャバ)と呼ばれています。
アミノ酸といえばたんぱく質を構成するものが有名ですが、それらとは異なり、ギャバは主に脳や脊髄で「抑制性の神経伝達物質」として働いています。興奮を鎮めたり、リラックスをもたらしたりする役割を果たしているのです。
そのため、ベストパフォーマンスが求められるトップアスリートのストレス対策にも用いられているほど。近年では、ギャバ含有食品が多く登場し、一般生活者にとっても、日常的なストレスの軽減に役立っています。
ストレス対策のほかにも、ギャバは多くの作用が期待され、注目を集めている成分です。
ギャバの働き
ギャバには、気持ちを落ち着かせる「抗ストレス作用」があります。
ギャバは、脳に存在する抑制系の神経伝達物質として、ストレスを和らげ、興奮した神経を落ち着かせる働きをしています。ドーパミンなど興奮系の神経伝達物質の過剰分泌を抑えて、リラックス状態をもたらす作用があるのです。
現代人にはギャバが足りない!1回30mg以上のギャバが必要
現代社会はストレスがいっぱいです。そのため、体内にあるギャバは、ストレスを和らげるために使われて、常に不足しやすい状態になっています。本来なら、ギャバは体内で十分な量が作り出されるのですが、ストレスにさらされていたり、高齢になってくると、体内のギャバ量が少なくなる傾向があるのです。
ギャバが不足すると、興奮系の神経伝達物質が過剰に分泌するのを抑えることができなくなります。つまり、リラックスできずに精神的な緊張感が続いてしまうのです。
目安として、1回に30mg以上、より機能を実感されたい場合は、50~100mgのギャバを食品やサプリメントから摂取することで、ストレス軽減などの効果が期待できると考えられています。
ギャバを含むいろいろな食べ物
ギャバは動物や植物の内にある天然のアミノ酸なので、日頃わたしたちが口にするさまざまな食べ物に含まれています。
よく知られているのは発芽玄米で、100g中に10mgのギャバが含まれています。これは実に白米に含まれるギャバの約10倍にあたる量です。このほかにも、トマト、なす、アスパラガス、かぼちゃ、きゅうり、メロン、みかんなどの野菜や果物、漬物、キムチなどの一部の発酵食品に、ギャバが多く含まれています。
最近では、キムチからギャバを効率よく生産できる乳酸菌が発見されました。それを利用して、チョコレートや飴、コーヒーや醤油など、ギャバを添加した多くの食品が開発、販売されるようになってきています。
ギャバの歴史
1950年、哺乳動物の脳からギャバが初めて抽出されました。この抽出成功をきっかけに多くの研究がなされるようになり、ギャバが神経中枢で働く抑制系の代表的な神経伝達物質であることがわかったのです。
1961年には、ギャバを主成分とした医療用医薬品が承認されました。
1979年、消化管においても神経伝達物質として機能していることが発見され、その後、体内組織のいろいろな部分に存在することが明らかになりました。
1984年頃になって、ようやくギャバという名前が一般的に知られるようになってきました。ギャバを多量に含むお茶が開発され、そのお茶を飲むことで、塩分取りすぎによる高血圧を防ぐことが報告されたためです。それ以降は、ギャバのリラックス効果、脳細胞の代謝活性化作用などが、健康情報のテレビ番組や雑誌でたびたび紹介されるようになりました。
現在も、さまざまな優れた効果を持つギャバは大変な注目を集め、多角的に研究が進められています。そして、さまざまな食品への応用も進んできています。
医薬品としても使われているギャバですが、厚生労働省の通知する日本国内での食薬区分は、2001年以降「食品の成分」と定められています。