第1回マスコミセミナー 満員電車のストレスは?最新実験結果発表!

2006年12月7日

GABA(ギャバ)・ストレス研究センター

第1回マスコミセミナー セミナーレポート

「GABA(ギャバ)、そのストレス軽減の機能性と可能性
~ストレス国家ニッポンのワーキングピープルを救え~」

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【セミナー内容】

■「ギャバ・ストレス研究センターの設立趣旨と活動」
ギャバ・ストレス研究センター事務局

■基調講演「今日のストレス、今日解決。溜めない毎日が日本を救う」
杏林大学教授 古賀良彦

■最新研究報告「ギャバの機能性、及び最新実験結果の発表」
静岡県立大学教授 横越英彦

GABA(ギャバ)・ストレス研究センターは、食品成分である「ギャバ」をテーマに、現代人のストレス軽減に寄与することを目的として、2006年11月1日に設立されました。
その活動の一環として、2006年11月10日“勤労感謝の日”を前に、「勤労感謝の日に考える GABA(ギャバ)、そのストレス軽減の機能性と可能性 ~ストレス国家ニッポンのワーキングピープルを救え」と題し、第1回マスコミセミナーを開催いたしました(於:全日空ホテル)。
杏林大学教授の古賀良彦氏による、基調講演「今日のストレス、今日解決。溜めない毎日が日本を救う」では、ストレスによる深刻な状況を引き起こす前に、日々のストレスを確実にリリースする大切さとその効果的な対処法を御講演いただきました。
続いて当センター代表で静岡県立大学教授の横越英彦氏による、最新研究報告「ギャバの機能性、及び最新実験結果の発表」では、ギャバ研究の第一人者としてギャバのストレス軽減における高い機能性とこれまでの研究成果に加え、研究センターの調査により明らかになった“ 満員電車でのストレス”の高さとギャバによる軽減実験についてVTRを交えながら報告いただきました。
さらに株式会社ファーマフーズ常務取締役岩城紀子氏より、「ギャバの市場での動き」と題し、確かな機能性に支えられた素材ギャバの順調な伸びと高い期待感についてお話いただき、盛会裡に終了いたしました。
本ニュースレターは、古賀良彦先生、横越英彦先生による御講演を中心に、当日のセミナー内容をまとめたものです。
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■「ギャバ・ストレス研究センターの設立趣旨と活動」
ギャバ・ストレス研究センター事務局

1.設立趣旨
すべての働く人々のストレスを軽減するために
ギャバ・ストレス研究センターは、ストレスの軽減と、それによるQOLの向上に寄与することを目的として設立された。具体的な活動としては、大きく次の2点となる。(図1)
1)食品成分ギャバの抗ストレス作用について、実験、検証を行う。
またストレスに関するさまざまな調査も実施する。
2)1の成果、結果を積極的に広報していく。

当センターでは第1回マスコミセミナーに先立ち、20代~40代のサラリーマン男性と主婦を対象に、ストレスに関する意識調査を行った(調査の詳細は別紙参照)。それによるとサラリーマン男性の多くは、「上司」(60%)、「同僚」(36%)など、職場での対人関係にストレスを感じているのに対し、妻の59%はそんな「だんな」をストレスと感じている、という結果が出た。(図2)
さらにサラリーマン男性が、1日のうちで特にストレスを感じるのは「満員電車」(34%)、「会議」(31%)、「デスクでの業務」(30%)で、職場や通勤時に多くのストレスを感じている実像が浮き彫りになった。(図3)

本日のマスコミセミナーでは、この調査で最大のストレスシーンとして挙げられた「満員電車」に焦点をあて、そのストレスにギャバがどのような影響を及ぼすかについて、当センターが行った研究結果を、代表の横越英彦氏が報告する。

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(図1)GABA(ギャバ)・ストレス研究センター設立趣旨

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(図2)研究センター意識調査:ストレスの原因となるのは誰?

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(図3)研究センター意識調査:ストレスを感じる場面は?

2.今後の活動
生活者ネットワークを構築し日々のストレスに立ち向かう
当センターが活動のテーマとするのは、私たちが日常的に感じるストレスである。たとえ小さなストレスでも、蓄積すると心身に深刻なダメージを与えかねない。日々のストレスをいかに溜め込まずにリリース(解消)していくかは、ストレス対処を考える上で非常に重要である。
今後は、例えば「上司と部下のストレス」や、人間以外の「ペットのストレス」なども含め、より身近なストレスに焦点を当て、食品成分としてのギャバの可能性を検証していきたい。
また今回報告する満員電車の実験には、22名のボランティアの協力を得たが、当センターの趣旨に賛同する生活者を全国から募り、当センターを中心として、ストレスに関心を持つ生活者のネットワークも鋭意、構築していく予定である。(図4)
ストレスへの対処法として薬に頼ることを望まない方も多く存在する。研究センターとしては、一般の食品でも、ストレス軽減に対してできることがあるのではないかと考え、食品成分でありながら、もともと私たちの体内にも存在しているギャバの可能性を信じて、研究を進めて行きたい。

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(図4)全国の生活者から協力・実践者を募ります

■基調講演
「今日のストレス、今日解決。溜めない毎日が日本を救う」
杏林大学教授 古賀良彦
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1.ストレスとは
“デイリーハッスル”の蓄積がストレスを大きくする
「ストレス」という言葉は、案外、曖昧に使われていることが多い。「ストレス」とはある種の「ゆがみ」、すなわち「心や体がゆがんだ状態」を意味する。そして、そういう状態を生み出す要因となるものを、「ストレッサー」という。図5に示すようにストレッサーには、職場や家庭など人間関係から生じる「心理社会的ストレッサー」だけでなく、生物学的、物理的、化学的なストレッサーなど、さまざまなものが考えられる。
ストレスはその性格上、ボクシングでいうボディーブローに似ている。一発でノックアウトされることはないが、何度も打たれていると、やがてそれが決定的なダメージとなるからだ (図6)。「日常的に起こる小さなトラブル」のことを、「daily hassle(デイリーハッスル)」というが、ストレスの多くはこのデイリーハッスルである。人間の体には、主に自律神経系や内分泌系の働きにより、無意識のうちにストレスから心身を防御する機構が備わっているが、デイリーハッスルが日々蓄積されていくと、この抵抗力も次第に弱まり、やがて心や体にさまざまな症状となって現れてくるのである(図7)。

05(図5)ストレッサー

06(図6)ストレッサーによる心の歪み

07(図7)ストレス症候群

2.効果的なデイリーハッスル撃退法とは
“3つのR”でストレスを毎日リリース(解消)
そのようなストレスに対して、自身によるストレス対処として身につけておきたいのが、“3つのR”である。
“3つのR”とは「Rest(休養)・Relaxation(癒し)・Recreation(活性化)」で、1つめの「Rest(休養)」の最善の方法は、言うまでもなく睡眠である。3つめの「Recreation(活性化)」は、ストレスによって生じた心身のゆがみを、元の健康な状態に“リ・クリエイト(作り直す)”することだ。「Recreation」には手を動かして没頭できる作業が有効で、昨今ブームの大人向けのぬり絵やなぞり書きは、これに適した方法として薦められる。

食品と香りで「Relaxation(癒し)」
最後にストレス対処ための“3つのR”のうち、「Relaxation」について述べておきたい。「Relaxation」としては、アロマセラピーに代表されるような香りの効果や、当センターのテーマでもある、ギャバのような食品成分の持つ効果が注目されている。
ストレス状態が長く続くと、心身の不調から深刻な病気を引き起こす場合もある。ストレスと無縁でいられない現代人には、ストレスとうまくつきあう、つまり「今日のストレスは今日のうちに解消していく工夫」が求められる。そのためには上述したような“3つのR”を、意識的に生活のなかに取り入れていく必要がある。また研究者の立場からは、食品成分や香りなど、ストレス対処に有効な手段について、エビデンスに基づいた科学的な効果検証を行い、その成果を広く人々に伝えていく責務があると考えている。

■最新研究報告
「ギャバの機能性、及び最新実験結果の発表」
静岡県立大学教授 横越英彦yoko

1.ギャバの抗ストレス作用
天然のアミノ酸、ギャバ
ギャバ(GABA)は英語の「Gamma AminoButyric Acid」の頭文字をとった略称で、日本語では「γ(ガンマ)−アミノ酪酸(らくさん)」という。ギャバは動植物中に広く存在する天然のアミノ酸だが、食品では発芽玄米をはじめ、野菜や果物、発酵食品などに多く含まれている。
次にギャバの抗ストレス作用について、これまでに明らかになっていることを一部紹介する。

1)ギャバはリラックス状態を示す脳波α波を優位にする
α波はリラックス時に出現する脳波、β波は興奮時に出現する脳波だが、ギャバはα波を優位にし、リラックス状態を誘導する(図8)。
08(図8)ギャバが脳波に及ぼす影響/リラックス効果・癒し効果

2)ギャバは自律神経系を副交感神経優位にする
人間の体は、交感神経と副交感神経からなる自律神経系で、さまざまな調節がなされている。たとえばストレスで緊張しているときは交感神経が、リラックスしているときは副交感神経が優位になる。同時に瞳孔の開閉や唾液の分泌、心拍数、血圧、手足の発汗なども、これらと連動して図9のように変化する。図10はギャバ(100mg)摂取後90分間の瞳孔の直径と心拍数を測定したものだが、ギャバは瞳孔を小さくする、心拍を落ち着かせるなど、副交感神経を優位にする。
09(図9)自律神経の働き

10(図10)ギャバが自律神経系に及ぼす影響/リラックス効果

3)ギャバは極度のストレスが心身に及ぼす影響を緩和する
高所恐怖症の人に吊り橋を渡ってもらう実験で、極度のストレス状況下におけるギャバの効果を調べた。指標として精神的ストレスが負荷されたときに、唾液中に多く分泌されるクロモグラニンAを用い、別途、心理テスト(POMS)も行った。
結果はコントロール群ではクロモグラニンA量が増加したのに対し、ギャバ摂取群では橋を渡る前から終了まで、増加は見られなかった (図11)。また心理テストでは、ギャバ摂取群で、混乱や疲労などストレス時に生じる心理状態が改善されており、これらの結果から、ギャバは強いストレスが心と体に与える影響を、ともに軽減することがわかった (図12)。
11(図11)ギャバが極度のストレス状況に及ぼす影響/クロモグラニンA量の変化

12(図12)ギャバが極度のストレス状況に及ぼす影響/心理(実感)テストの結果(POMS)

2.最新研究報告
ギャバが満員電車のストレスに及ぼす影響
rush
満員電車のストレスを半減
冒頭で紹介があったが、当センターが実施した意識調査では、サラリーマン男性が1日で最もストレスを感じるのは、通勤時の満員電車であった。そこで今回新たな研究として、満員電車のストレスにギャバが与える影響について調べた。
20代~30代のボランティア22名に、平日ラッシュ時(午前8時台)のJR東海道線・横浜−新橋間(約21分間)に乗車してもらい、乗車中の唾液を採取してクロモグラニンA量を測定した。なおギャバ摂取群については、乗車30分前にギャバ100mgを摂ってもらった (図13)。
また参考として、「株主総会など、大勢の前でプレゼンテーションをしなければならないとき」「上司から叱責されたとき」「ジェットコースターを嫌いな人が、都内最大級のジェットコースターに乗ったとき」の3場面におけるストレスも同様の方法で測定した。
図14はその結果である。ここではストレス負荷前の状態を100とした時のクロモグラニンA量の変化率を表しているが、「満員電車」乗車時の変化率は4倍以上と極めて大きく上昇。「株主総会」「上司からの叱責」「ジェットコースター」等と比較しても2倍以上になった。一方であらかじめギャバを摂取して満員電車に乗った群では、変化率は他の場面と同程度で、非摂取群に比べて顕著にストレスが軽減されていることが示された。
13(図13)新たなギャバの抗ストレス研究/満員電車実験概要

14(図14)新たなギャバの抗ストレス研究/満員電車のストレスでのクロモグラニンA量の変化

食品成分ギャバの可能性に、よりいっそうの期待
ギャバの摂取により、満員電車におけるストレスが大幅に軽減されたことで、これまでに明らかになっているギャバの抗ストレス作用が、ごく日常的なストレスに対しても効果を発揮することが確認できた。これは毎日のストレス対処において、食品成分としてのギャバの可能性を、よりいっそう広げるものと考えられる。
今後も、人々が実際にストレスを感じる日常の場面や状況をテーマに、ギャバの抗ストレス作用の研究、検証を重ね、その成果を積極的に伝えていきたい (図15)。
15(図15)新たなギャバの抗ストレス研究/まとめ

「ギャバの市場での動き」
株式会社ファーマフーズ 常務取締役 岩城紀子

iwaki4年間で4倍以上もの成長、今後も期待大のマーケット
ギャバ含有商品は、2002年ごろからキムチや味噌、漬け物などの発酵食品として市場に登場した。その後2004年〜2005年にかけて、飲料やチョコレートなど一般商品としてのギャバ含有商品が続々と発売され、ギャバ市場は一気に拡大。ギャバの認知度も高まった。当社が2006年9月に行った調査では「ギャバを知っていますか?」という質問に対して、名前を聞いたことがあるという回答も含めると、認知率はすでに8割を越えている。
商品群の広がりに伴い、ギャバの国内販売数量も飛躍的に伸びた(図16)。2005年は前年の2倍の80トン、今年2006年はさらに増えて110トンと予想され、2002年の25トンと比較すると4倍以上となっており、今後もさらなる拡大が期待できるマーケットだと考えている。
16(図16)市場でのギャバの広がり